メモ 逮捕・勾留~交通事故の加害者は逮捕されるか?

被害者の方から「何故、人を殺したのに加害者は逮捕されないのですか?」と聞かれることがあります。結論的にいえば、交通事故の被疑者は、逮捕されることは多くありません。
仮に逮捕されても、翌日くらいには釈放されていることが大半です。
「逮捕」というのは、加害者の身柄を警察署などに留置する手続です。これは48時間だけ認められています。その後、さらに捜査の必要がある場合には、「勾留」(マスコミでは「拘置」と書きます。)により10日間(20日間まで延長できます。)、警察署に留置することが可能となります。
刑事事件は、犯人を逮捕・勾留して捜査する事件(=通称「身柄事件」と言います。)と、逮捕・勾留をしないで捜査する事件(=通称「在宅事件」と言います。)に分かれますが、交通事故は、大半が「在宅事件」になります。
「身柄事件」にする事件というのは、「逃亡や証拠隠滅(いんめつ)」の恐れがある場合、ということになっていますので、交通事故の場合には、通常は「逃亡する」ということもないし、「証拠隠滅」もできない、とされています。その理由は、事故が発生し、その直後に、実況見分調書を作成し、被疑者が事故の内容を認める供述調書も作成してしまうからと思われます(実際には、加害者の話の内容が、後日、変わることは結構ありますが。)。警察官が犯罪捜査をする場合の捜査手法などを定めた犯罪捜査規範でも、逮捕をしないで捜査すること(任意捜査=在宅事件)が“原則”となっていますので、交通事件は、大半が在宅事件として捜査されています。
ただし、危険運転致死罪のように実刑(実際に刑務所に収容されること)の可能性が高い事案、飲酒や大幅な速度超過が関係する悪質事案、運転者が客観的状況と異なる不合理な弁解をしている事案、ひき逃げ事件、などでは、逃亡の可能性も出てきますし、目撃者への働きかけの危険などもありえますので、例外的に、逮捕・勾留されることもあります。

ページのトップへ戻る