メモ 被害者が刑事記録を閲覧できる時期の変遷

刑事記録について、かつては「裁判が終わるまで」は、被害者が見ることはできませんでした。被害者は、加害者の刑事裁判が終わって、はじめて、刑事確定訴訟記録法に基づいて閲覧をできる、というのが、長く日本の刑事記録の閲覧ルールでした。
しかし、犯罪の被害者にしてみれば、加害者の裁判について傍聴する権利しかなく(裁判の期日についても連絡されないことも多い)、傍聴をしても、記録を見ていないので、「何をやっているのかわからない。」ことも多い、というのが実態でした。いわば「蚊帳の外」に置かれていたのです。
また、大規模な詐欺事件などでは、刑事裁判が長期化することもあり、被害者が犯人たちに損害賠償請求等の民事裁判を起こそうとしても、刑事裁判が終わるまで、警察が押収した様々な記録を取得することは不可能であり、被害者救済の大きな支障となっていました。
そのため、被害者からは、刑事記録の早期開示の声があがりました。

~2000年の犯罪被害者保護法の成立による変化~
2000年に成立した犯罪被害者保護法により、加害者が起訴され、1回目の公判が開かれた後は、裁判所において、被害者が刑事記録を閲覧したりコピーしたりすることができるようになりました。ようやく、刑事裁判の途中でも、被害者が刑事記録を取得できるようになったのです。
なお、犯罪被害者保護法による閲覧・謄写の権利は、2000年の立法当初は、法文上「損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合」となっており、裁判官によっては「民事訴訟に必要か否か」を判断基準にしていることがあり、「意見陳述書のため」という理由を書くと不許可にしているケースもありました(そのようなケースでは、例えば、立法担当者が執筆している「逐条解説犯罪被害者保護二法(149頁参照)」などを添付して、再度、上申書を提出することもありました。)。被害者には意見陳述権が認められており、記録をみてから意見陳述をしたいと思うのは当然のことで、このような制限は、法の趣旨からしてもおかしいのです。このような間違った運用をする裁判官が多いことから、2007年の法改正で法律自体の文言を変更し、「正当でないと認める場合及び犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き」、原則として閲覧・謄写を認めることとなりました。

~2008年の被害者参加制度開始による変化~
犯罪被害者保護法3条による閲覧・謄写は、上記のとおり、第1回公判が終了してから認められるものです。しかし、日本の刑事裁判は、被告人自身が犯罪事実を認めている場合には、第1回公判で結審(審理の終了)することが多く、被害者が刑事記録を見ることができるのは、実質的には、裁判が終わった後ということも少なくありませんでした。
2008年に被害者参加制度が開始されるに伴い、被害者参加を希望する被害者については、第1回公判前においても、記録の閲覧・謄写を認めるようになりました。

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