実況見分調書の開示
 日本では、実況見分調書は、検察官の起訴・不起訴の処分が決まった後でなければ開示されません。起訴された場合には、第1回公判期日の後、犯罪被害者保護法3条に基づく開示請求によりコピーできます。起訴されない場合には、不起訴記録の閲覧・謄写の制度によりコピーできます。しかし、いずれも、コピーできるのは、事故から相当期間が経過した後です(半年とか1年後というのが普通です。)。その時点で実況見分調書を見て「あれ? あそこにあったスリップ痕が記載されていない。」などということを発見しても、既に道路の痕跡はなくなって、事故車両も廃車になっていて、後の祭りということになります。
 現場の痕跡を記録した実況見分調書などは、客観的状況を記録したものですので、早期(事故から2週間程度)に開示しても、捜査には支障がないと思うのですが、今のところ、そういうことは認められていません。実況見分調書の早期開示を求める活動をしている被害者の団体もありますので、このような制度が実現すると良いと思います。
 この点が改善されると、現場の警察官も「すぐに遺族が見る」という緊張感をもって、正確な実況見分調書が作成されることになると思います。
 この問題に限らず、人間というのは、誰も見ていないところでは手を抜きがちです。情報公開制度は、こうした手抜きや不正に対するチェックのための重要な制度なので、可能な限り推進していくことが必要だと思います。個人的には、民主主義社会にあっては、国の持っている情報は、非公開としなければならない特別の理由がないかぎり公開する、という考え方が正しいと思っております。そういう意味では、実況見分調書は、当然に、即時、開示するのがスジだとは思うのですが・・・。
 このページは2007年11月9日に更新しました。内容に誤りがないように留意しておりますが、万一、誤りにお気づきの方は、こちらにメールしていただければ幸いです。
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