疑わしきは被告人の利益に
 刑事裁判の大原則として「疑わしきは被告人の利益に」というルールがあります。このルールがなければ、国家権力(警察・検察)が市民を無実の罪で逮捕したり、処罰できることになってしまうからです。したがって、交通事故であれば、加害者の速度が時速50キロか時速70キロか不明な場合には、時速50キロとして認定することになります。
 つまり、法律上、「証拠がないこと」イコール「加害者に有利になること」なのです。
 ですから、最初に現場に臨場した警察官が「犯罪捜査」であるという意識をもって、一つ一つの書類(特に実況見分調書)を作っていかなければなりません。犯罪捜査というのは、犯人が、様々なウソや弁解をすることを想定して、そういう弁解を許さないように「動かぬ証拠」を集めていく作業なのですが、交通事故捜査の記録をみると、そういう意識に乏しい事案が多く見られます。
 加害者を「犯人=犯罪者」として追及するという姿勢ではなく、むしろ加害者に同情していると思えるようなケースもあります。場合によっては警察官が被害者遺族に対して「あいつ(加害者)の家族のことも考えてあげないと。」「運転手には、悪気はなかったんだから。」などと加害者を擁護するような発言をすることもあります。
 本来、警察が完璧な捜査をしていることが信頼できるのであれば、被害者が苦労して証拠集めをする必要など全くないのです。しかし、残念ながら、被害者自身が写真をとっておくなどの手段を講じないと、あとで後悔するケースがあるというのが現実です。
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